[5-11]そんなにこのノリ嫌だった!?
あらすじ
「撮り直してーーー……!!! 私ヤンキーっぽくなぃいいい……!!!」
11節、最後に想い出を確立させます。
コレで本作も山場は登り切ったかな、という半バーンアウト。次からアウトプットフェーズ5に入ります。
スタート!
……あ、頭が痛い……アレからの記憶が無いけど、ほんと一体何を経験したんだろう私……
それぞれの長く苦しい夜が終わり、平等なる朝は訪れた。
それから数時間経ったリゾート気分2日目なわけだが、ココアは依然本調子が出なかった。
ココアちゃん、大丈夫? もしかして風邪でも引いちゃった? お腹出して寝てたとか~(←元気)
……うん……まあ、ユサさんが特にコメントないなら私も別にいいかな……
……ココアちゃん調子悪いなら、室内で休んでた方がいいよ……
その言葉そのままタマ先輩にお返ししますよ。やっぱり昨夜何かあったんですよね……? アクシデントについては取りあえず解決したってバ会長言ってましたけど
……解決はしてないかな、解明はされたってだけで……根絶すべきものを見逃して帰ってきたようなものだから、気持ち悪くて……
(何となく深く聞かない方がいい気がしてきた)
お、そうこうしているうちにもうお昼時。ツルッと唐揚げ素麺鍋のお時間かなー
わざわざお鍋にする必要あるのかなソレ……?
それに丁度、ビーチバレーリベンジ合戦も終わった感じだし、頃合いかな。みなさーーん、ちょっとお仕事に附き合ってくださーい
ユサがココアの手を引いて、矢張り焦土と化したビーチへと駆ける。
ん? 仕事?
写真撮りたいんですよー。ほら、昨日も触れましたけど後日林間学校特集と題した特別な新聞を発刊予定なので、そこにプライベートビーチ玉席の写真を載せるんですよ。文化です
…………また文化か……
そういえばそういうのがあったなり。……水着ですが
水着だからいーんですよー! 特に参席様とか皆期待してるんじゃないですかー? 露出はあんまりなさげですけどね
後日、男共にジロジロ見られる羽目になるのは想定済みだ。だからこそのスーツ仕様さ
抜かりねえな~。ちなみにタマはいつも通りな装備でいいんだろ? てかそうしてくれないと多分稜泉の男共が保健室に殺到しそうなんよ
「「…………」」
個人的にはすっごく残念ですけど、まぁ何となくお察ししてるのでいいですよー。取りあえず、5人並んでください
広報用の写真を撮ることになった。
遊び疲れたバ会長、ユラ、ハコと、夜を引き摺っているココアとタマの5人が、設置されたガチの三脚カメラの視界にまとまっていく。
……というか本当にいつからあの鍋奉行は我々の広報担当になったなり、信用し難いのですが
あはは、ホントいつの間にかそんな感じだよね。私が玉席にいるっていうのもあるだろうけど、流石ユサさん
んー……こんだけ寄せすぎると誰のお胸か分からなくなるなぁ。あ、でも副会長様は服装で分かりやすい――
何を撮ってるんだ何をッ(←拳骨)
あいたー!! 乙女の頭皮にグーパンは無配慮過ぎますよマキ先輩ー……だから婚活も捗らないんですッ
もう1発くれてやろうか?
ユ サ さ ま ?
う、分かりましたよー……真面目に仕事しまーす、はいチーズ’(←完了)
ピースする暇もなかったッ、普通に棒立ちだったんだけど撮り直さなくていいのユサさん!?
やっぱアイツ生徒会室出禁にした方がいいぞ。ま、ともかくコレでノルマは達成なんだろ? 早く小屋に戻ってシャワーを浴びてタマくんの布団にくるまりたい……
もうクリーニングに出しましたよ
クオリティはともかく写真は撮れたので一同散らばっていく。
……あ! ちょっと待って!!
それをココアが寸止めした。
折角凄い良さそうなカメラあるんだし、事務とかじゃなくプライベートなやつ、皆で撮りましょうよー! ダンベルも!!
私は護衛としてこの場に滞在しているに過ぎないのですが
これだけ浜辺を荒らしておきながら何を言ってるんだこの人は……そしてその主も何を言ってるんだ
思い出作りに決まってるじゃないですか! ほらほら、皆集まってー、ユサさんよろしく!!
えー……? そういうありきたりな青春の1ページは所望してないんだよなぁ……なんて駄々こねてもココアちゃんの方がもっと駄々こねるの目に見えてるから大人しく従っておくとしましょうか
ユサの判断に皆もため息や苦笑で同意する。こういう時のココアはめんどくさいのである。
ガチカメラをセッティングしている間に、ユサ以外のメンバーが何となく集まっていく。
身長高い組はやっぱり後ろかな?
私も、後ろ端っこで……
侍従は距離を保つのが当然
同じ理由で隅っこを確保しましょう
俺も趣味に合わん。端に置かせろ
目立ちたくないなり
どうせならタマくんの近くがいい
――ってちょっとォ!? 全員最後列端っこ希望ってどういうことォ!? あーもう、空気読みましょうよー、ハコとツララ先輩コッチ! マキ先輩引っ張りますよー! ウミナリさんはここで!
あ、もう時限シャッター切っちゃった
え!? ほんと、じゃあえっと、もういいやユサさんッここー!!
えー私ほぼ真ん中じゃーん(←走)
カウント的な点サウンドがカメラから鳴り響く。
その間隔が短くなっていき……
走り寄ってきたユサの腕をココアが引っ張ったところで。
はい、
かしゃり
チーズ! ――って明らかに間に合わなかった!! 皆さんちゃんとカメラ目線してました!? 撮り直します!?
これ以上我々をくだらない花畑アクションに附き合わせるようなら、貴方を海の藻屑にしてから帰ることも考えますよ
実際にデータを見ればいいだろう? ユサくん、もう少し附き合ってやれ
はーーい。……お昼ご飯で弄り返してやろ
そんなにこのノリ嫌だった!? ……おー。おーー!! えへへ、案外良い感じだ! ツララ先輩見てくださいよ!! ハコも!!
はいはい
本当に恥ずかしい同級生なり
――タマくんが可愛すぎるッッッ(←鼻血)
本当に恥ずかしい上級生なり
で、どうですかなーココア総監督ー。満足ですかー?
まさかの1発OKですよー!! ありがとうございました皆さん!! お部屋に飾っちゃうから、プリントよろしくユサさん!!
だねー。ココア様もまるで自分がヤンキー設定であるのを完璧に忘れ去ったかのような眩しい笑顔をしていて、これまたココアFCが盛り上がりそうですよー
やっぱり撮り直しでお願いしますッ!!
「「ココアFC……(←悪夢ワード)」」
撮り直しは叶わなかった。
撮り直してーーー……!!! 私ヤンキーっぽくなぃいいい……!!!