[5-03]目分量ドバー!!

あらすじ

「今日は逆に、ダンベルをもてなしちゃうから! ふんすー!!」

少女たちのクッキングタイム。

海といったらBBQか海の家焼きそばってイメージしかないんですが、皆さんの定番昼食は何ですかねな3節。

スタート!

ココア

日が沈んできた

太陽気団の出しゃばる時間帯は過ぎ去り、外の景色は赤と黒のグラデーションがメイン配色となりつつあった。

濁った海と荒らされまくった砂浜が、黄昏の世界に程よく調和する。が、それを堪能する余裕もビーチボール班はなく、全員ログハウスの方に戻ってきていた。

バ会長

あ~疲れた。野球の公式試合の数倍疲れた

ダンベル

次はもっと耐久性の優れたボールを用意しておきましょう。鉄球とか

マキ

それはもう、ビーチボールでもバレーボールでもない……(←屍)

ユサ

いやー審判でホント良かった☆ さて、そろそろ夕餉の用意するお時間だね。暇人の活躍するチャンスだ

暇人および先手入浴を貫いた智将がエプロンを身に纏った。

ココア

私も暇人だったから、手伝うよユサさん

ユサ

邪魔だから近付かないでね

ココア

何ていうかまず自分の涙でエプロン濡らしそう

ダンベル

ユサ殿はまだ良いにしても、何故ココア様が厨房に立たねばならないのですか。この家政婦が立ちますよ

滅多打ちココア、めげずに厨房の一部を占領する。

といっても晩ご飯の場に鍋学友がいる、その時点でもうメニューは確定しているので、ココアはひっそりデザート作りに洒落込むことにしていた。

ココア

こういう時ぐらい越俎之罪は見逃してよねダンベル! 今日は逆に、ダンベルをもてなしちゃうから! ふんすー!!

ダンベル

……包丁で指を截断してしまわないか……(←監視)

ユサ

ダンベルさん気が散るなぁ(←メッザルーナ)

ココア

ユサさん何その包丁ぉ!? カッコいー!!

ユサ

いやホント気が散るなぁ

ココア勢にガン見されながらも、特に支障もなく自分でご飯を用意するタイプのユサは実に慣れたプロセスで具材を切り刻み、種類ごとにボウルへと投げ積めていく。

一方のココア、ダンベルのプレッシャーもあるので包丁は使わずにカットマシーンで気軽にイチゴを分割していく。それから液体色々ドバー。ゼラチンもドバー。

ココア

目分量ドバー!! さあ、あとは冷やすだけだよ!! 本来ならこっから十数時間かかるんだけど、何故かここにはウルトラ急速冷蔵庫が備えついてるから安心!!

ダンベル

……テリーヌですか。流れに則れば失敗しようのない類いですが、ココア様の目分量を信用しろというのが最大の難関ですか

ココア

相変わらず今日も信用されない主だけど、ダンベルにはとても言えない理由でお菓子作りは慣れてるから多少は信用してくれてもいいんじゃないかな!!

ダンベル

言えない理由があるのが発覚しているのにどうして信用できましょうか。ユサ殿?

ユサ

私はその辺に関与しない主義で学友やってますのでー。でも、実際ココアちゃんって案外家庭的なとこありますよね。黑稜基準でいっても気遣い半端ないし(←メッザルーナ)

ダンベル

そこは同意です、まったく困りもので……

ユサ

まぁ会長様はどう考えても厨房立つタイプじゃないし、役割分担的には丁度良いんじゃないですかね(←メッザルーナ)

ダンベル

何故彼とココア様が家事の役割分担する状況が成立しえるのかを聞きましょうか?

ココア

ちょ、一触即発やめて!?

ココア、キッチンでもフォローの絶えない時間。

そういう大変さと不穏さと恐怖はあったものの、少女たちの仲良しクッキングは総じて順調に進んでいった。

……。

…………。

……………………そして。

地獄の晩餐が始まる。