[5-10]未知のココアプロージョン

あらすじ

「い、一体何十通り存在するのかしら――もしくは3桁!? 4桁とかいっちゃわない!?(←鼻血)」

男子禁制(?)の秘密の夜花園を覗いてみませんか?

修学旅行の空き時間に授業の宿題やってたら何か怒られた10節。次回でラストです!

スタート!

奉行

――こちら、ココアFC稜泉本部。本日は皆さま、林間学校という場にてお集まりいただき誠に有難うございます

部員

「「お疲れ様です」」

奉行

それでは、布団の中ではございますが、お待ちかねの定例会議を始めます。すなわち、今宵こそ結論をつけましょう――

部員

「「…………」」

奉行

監査官×ココア様、は成立しえるのかを

部員

「「…………」」

部員

前提確認です。明らかにココア様は、会長様に気があるご様子。そもそもソレは何としてでも阻止せねばならないのですが、1つの空想としての範囲内でならば……

部員

ええ……間違いなく、ココア様のパートナーとなるのにフィットする男性候補は会長様。しかし、最近少しずつ勢力を帯びつつあるのが、マキ監査官様ですわ

部員

監査官様は依然、氷条参席を狙っている……実績や能力を第一に評価している御方ゆえ、少なくとも氷条参席の存在ある限りココア様があの方の目には本来留まらない……しかしッ

奉行

本来非常に不似合いに思えるお2人ですが、会長様が野球部に洒落込んでいるために生徒会の活動に注目している監査官様の方がココア様と一緒に居る時間が長いことが、ユサ顧問の調査で分かっています

部員

一緒にいる時間というのは基本の要素。つまり……そういう展開もッ、有り得るということです!!!

部員

「「ぐっっ……(←苦悶)」」

部員

監査官様は婚活に積極的な姿勢をお持ちですし、ココア様に気を持ったなら、待つことなしに言い寄ることでしょう!!

部員

そんな、ココア様が――

部員

ココア様が男子の手に落ちるだなんて……うう、ダメ、やはり看過しがたいですわ!!!

部員

何としてでも、阻止しなければ――

奉行

――一度静粛に!! 皆さまの気持ち、悲痛、共有するに余りありますわ。しかし、今宵の議題はあくまで、「監査官×ココア様は成立しえるか」です! あくまで、これは空想の領域。故に、想像するのです

部員

「「…………」」

奉行

実際そのお姿は、如何様か――

マキ

今日という今日は、逃がさんぞ(←壁ドン)

ココア

……!! ま、マキ先輩、ちょっと――

マキ

まったく、あまりこの俺に世話を焼かせるな。これでも忙しいんだ、知っての通り俺にはブランドを研磨する為に毎日が戎馬倥偬なのだ

ココア

な、なら。別に今じゃなくてもいいんじゃないですかね……? その、お昼、ですし……誰も見てないからって、その、こんな……大胆な――

マキ

こうでもしないとお前は逃げるだろう? いいか、だからこそ俺は優先順位に全力で従ってるんだ

ココア

ま、マキ先ぱ、近っ――

マキ

――ココアくんのことを最優先するのも当然じゃないか。ソレを今から、しっかり教え込んでやる――

クレームの原因

「「ココア様あああぁあああああああああああ!?!?!?」」

部員

ダメ、これダメですわっ、ココア様は何でも受け容れちゃう受け花畑スペックですから、監査官のようなSキャラもしかり受け止めてしまいそうですわっ

新人

…………?

奉行

ええ、あの2人が案外仲良いというタレコミも学内で多く報告されています。我々が思い知っているように、ココア様の笑顔の近くに居続けると、幾ら監査官様といえども……故に、私は監査官×ココア様はアリなんじゃないか、と考え至るのです

部員

「「じゅじゅじゅっ……(←生唾)」」

新人

……あの(←挙手)。1ついいですかね

奉行

? 新入の方ですね。どうぞ

新人

そもそも、マキ監査官は……攻めで確定なんですか?

部員

「「――???」」

新人

つまり……こういうことは、有り得ないんでしょうか――?

部員

「「!?!?!?!?」」

ココア

今日という今日は、逃がしません、よッ(←壁ドン)

マキ

ッ……!? お、おい……何してる、どけ……

ココア

どきませんよマキ先輩。……マキ先輩、逃げてばっかりです。普段は肉食系気取ってる癖に、なんで私とは目すらマトモに合わせてくれないんですか?

マキ

そ、それは……俺には、仕事があるからだ、お前と違ってな。忙しいんだ! だから、お前と遊んでる暇はない……それだけだ!

ココア

嘘ばっかり……玉席の私の方が忙しいし、仕事は私を避ける理由にはならないし、マキ先輩は見栄っ張りで素直じゃないだけです。まあ、そういうトコが私は、大好きだったりするんですけど……

マキ

ッ――! す、好きとか、軽はずみに言うな! 俺はただ――ッ、近い、離れろ……!!

ココア

もういいもん、素直じゃないマキ先輩は私のことを蔑ろにし過ぎです、だから……この前みたいに、罰、与えちゃいます

マキ

ッ――

ココア

――マキ先輩は、私のモノなんだって。ちゃんと全身に刻んでくださいね……?

クレーム増発

「「きゃあぁぁぁああココア様大胆~~~~!!!!」」

新人

私、前々から思ってたんです……ココア様は泣き顔こそ至高だけど、懐いた相手のことは案外振り回していないか? と……氷条参席やウミナリ侍従のことを何とも思っていないある種の傍若無人……これ案外ココア様ってS寄りなんじゃね? と……

部員

な、何という期待の新星……!! 盤上をひっくり返されたような衝撃ですわ――!!!

奉行

――!? お、お待ちなさい、それでは、つまり――

新人

はい。私は……常日頃から思ってたんです……これ、会長相手でも通用すんじゃね? と――あれほどの女傑に恵まれていながらなおかつ女好きな昼休みを送っていながら、結局何もしてない潜在奥手バ会長相手なら、ココア様がすんじゃね? と……

部員

「「!?!?!?!?」」

ココア

ヒロくんッ!!(←押し倒す)

バ会長

!? ちょ、ココア、ここ学校だからッ。生徒会室だから、皆来るから――

ココア

大丈夫です、ハコもツララ先輩も学外で活動中です。私がお願いしたので、確定です。タマ先輩はいつも通り出張……だから、この部屋はしばらく私とヒロくんの2人っきりです

バ会長

……何の、為に

ココア

ヒロくんは、私と一緒じゃイヤなの? ……あの千歳さんってクラスメイトの方が良いんですか?

バ会長

ッ! おま、何でそこで……見てた、のか――?

ココア

ふふ……舞踊とか運動はホントに凄いのに、学業並みに女の子のことになるとポンコツなんだから……仲良いですよねお二人。ていうか千歳先輩がバ会長に夢中なのかな?

バ会長

ち、違うぞ。確かに最近会話が多いなってくらいで、俺は!!

ココア

分かってますよ。ヒロくんはそういう本気の女の子のアタックにめっぽう弱いだけですもんね? 勘違いはしてません。……でも、私を置いて、他の女の子に慌てちゃうのは……

バ会長

…………

ココア

そういうヒロくんが可愛くもあり、私は大好きです。非難しようっていうつもりでは案外ありません。でも――(←馬乗り)

バ会長

!? おま――

ココア

――私が、1番だもん。私が勝ち取ったんだもん。……私のモノだもん

バ会長

ココ、ア……――

ココア

それだけは絶対忘れないように、してもらわなくちゃね――?

猛禽類

「「きゃあぁああああああやっぱりこのバカップル~~~~~――!?!?!?」」

奉行

貴方ッ、あとでメアド教えて……!! 貴方は即戦力間違いなしですッ、ココアFCの幹部となる日も近いでしょう!!

新人

私は地位に興味ないです……ただ、見届けたいんです。少しでも近いところから、光風霽月ココア様の行く末を……(←鼻血)

部員

いや、でも全然監査官も捨てたものじゃないわ!! つまり――奉行!!

奉行

ええ……結論をつけるには矢張り、まだはやい――!!! 現状オーソドックスと言われる会長×ココアに差し迫るマキ×ココア、更に豪速で迫るココア×会長、ココア×マキ……

新人

それに、ココア様なら普通に白百合もこなせそうですしね……

部員

ッ――!? 貴方またそんなしれっと未知のココアプロージョンを!?

奉行

なるほど……博愛的なココア様の側面も考慮したならば、つまり……こういうことです!!!(←鼻血)

部員

「「そ、そういうことなのね!!?(←鼻血)」」

部員

い、一体何十通り存在するのかしら――もしくは3桁!? 4桁とかいっちゃわない!?(←鼻血)

奉行

つまりッッッ!!! 強いて今回、掲げるべき結論は!!!

ココアFC

「「ココア様ぁあああああ~~~~~!!!」」

バ会長&マキ

「「……………………」」

といった雄叫びが女子のフロアで絶えず響き渡っていた。

男子2名はそれぞれ気まずい感情に旋転囲繞されていた。

バ会長

……クレーム原因は、コッチっぽいな。格が違うわ、流石ココアFC

マキ

な……何故俺がアイツのファンクラブの妄想に巻き込まれなければいけないんだ――いやいや、有り得ないだろ、え、有り得ないだろ……??(←動揺)

バ会長

……いざ、こうも恋沙汰で遊ばれてるの知ると、何か妙な気持ちになるな。どうしたものかな……(←動揺)

タマ

――処断するんですよ!! 全員正座ですぅ!!

バ会長&マキ

「「やばいやばいやばいやばい――!!!」」

茫然自失に追い込まれていた被害者男子2名、失意と憤怒で暴れ出しそうな真面目弐席のお陰で我を取り戻す。取りあえず抑えて退却を決め込んだ。

タマ

こ、ココアちゃんもヒロくんもマキ先輩もッ、あんなッッ……奸邪です!! 稜泉にあるまじき邪悪です、粛清をッ会長粛清をッッ

バ会長

どーどー!! 文化だから、闇文化だから!! 年頃の男子女子こんなもんだって多分!!

マキ

……取りあえず、調査は完了だ……一般学生らに身の危険はなさそうで安心したということで……帰ろう、俺はもう疲れた……

タマ

監査官ッ見逃せませんアレは見逃せ――

と十数分ほどブチ切れた弐席の手足を御しながら、最後の大仕事を終えた2人は、平和この上ないココア達の眠る宿泊施設へと戻るのだった。

バ会長

(ってアッチにはココアが居るんだよなぁ……大丈夫かな俺。明日ちゃんと……アイツの顔、見て喋れるかな)

マキ

(恋愛……か。俺の狙うべきは……だが、この感情の向く先は――)

タマ

~~~~~~!!!