[8-08]ポッと出おさわりング頭領
あらすじ
「ふにふに。柔らかい。髪。パーカー。死んだ眼」
稜泉学園vs玄武衆、盛り上がり最高潮!?
だというのに何と次で終わります、インサート8の8節。
スタート!
――この俺を、差し置いてよォ!!!
「「「!!!」」」
そんな面白そうなお祭り騒ぎ、してんじゃねーよッ!!!
導火線にいつ火が付くか、もう付いてもおかしくないぞっていう極まった緊張感の空に。
エンジン音を炊かせながらソレは落下してきた。
!?!?
…………
そしてソレは、丁度ココアと頭領の間に落下し、砂埃を盛大に撒き散らし拡げる。
――ベタな流れに寄り添うならば、絶対に外しちゃいけない存在がようやく到着した。
混ぜろや、この玉ノ壱席をよォ――!!
ば……バ会長ォ!?
いや、阻止してくださいね会長……?
タマ先輩!!?
自動二輪でぶっ飛んで登場したのは、稜泉トップ2。
稜泉が保有する最強武力の代表例2つである。
え、何で、今まだ式典中ですよね!?
ココアちゃんの一大事だから一応、連絡入れたんだよね。携帯切ってるだろうからいつ気付くかは分からなかったけど
いやぁー表彰されてる途中に着信鳴り響いて焦ったわー。でもこの時間にユサっちが掛けてくるってことは十中八九何かあったってことだし、戻ってきて結果オーライだったなタマ☆
その通りですけど、マナーモードすら忘れてた会長には後で指導室をご案内しますね
バ会長の荒すぎるバイク、その後部座席から降りたタマがココアを抱き寄せる。
――!
――よく、頑張ったね。1人で……
ううん、見ての通り、皆が居てくれた。私……また、もしかしたら間違っちゃってたかもしれないです……
……そっか
さて、と
生徒会長、副会長が、ココアの前に並ぶ。
視線の先は――玄武衆、頭領。
…………
あー……やっば、選択肢がまた一気に消えた
え、何で?
分かんない? あの2人、多分頭領とマトモな戦いができる。あの時は牙を剥いてくるような文脈じゃなかったけど、今回は違う。形勢逆転ってやつだねぇ
は……はあ!?
なあ頭領さん……俺らはまあ、ずっと約束を守ってきたよ。そうだろ? だってのに、アンタの方から約束破るのはどうなんだ?
(……? 何の話をしてるんだ――?)
それともコレは、全部そこの賢そうな幹部さんの目論見? まあ何にしても、要するに、この場の収拾つけるべきは、アンタだよな?
…………
バ会長が、場を殆ど支配する。
だが支配しきれない異常な存在も居る。
矢張り全ては、この頭領次第。
頭領が何を発し、何を行うか次第――
アンタはどういう心で、今この場所に立ってるわけ? 結局今回、アンタは何がしたくて――
――タマ、先輩
――え?
へ?
――その頭領が。
声を発した。
タマ、先輩
え……
タマ、先輩
そして、行動に出た。
目の前に立っていた副会長に歩き出し、そして顔をベタベタ触りだした。
え??
タマ先輩
ええ?? ちょ、げ、ゲンブさん?
……――! タマ、先輩、だぁ
「!?!?」
「!?!?!?」
「「!?!?!?!?!?!?」」
誰もが恐懼する玄武衆頭領、いきなりぱぁっと明るい顔を惜しげなく披露。
その場全員の時が止まった。
????????(←混乱)
タマ先輩。タマ先輩。ぷにぷに、髪長い。パーカー。黒い(←あちこち触る)
!?!?!?!?(←大混乱)
戦意野望諸々が凍てついた中で、構わずイチャイチャしだす2人。
取りあえず、フォロワーココアがいち早く復帰した。
え、えっと、あのヨゴレの兄貴さん
――え? あ、うん。何?
コレ、一体……
いや、俺にもさっぱり。十中八九、君のこと探してた筈だけど……
これ、見る限り……
以降、ココアやバ会長、ヨゴレの兄貴による必死の事情聴取の結果、判明した今回の騒動の本質。
「何故この頭領はピンク髪の幼女を探していたか?」
結論を言うと、頭領が探していたのはどうやらココアではなくタマのようだった。しかし、頭領はタマの特長を記憶していなかった。だから会いたくても、探しようがなかった。学生という認識すらしていなかった。
そこで、そのタマと関係している、バカ目立ちした特長のココアを玄武衆の皆さんを巻き込んでまず探したのである。
……ふにふに。柔らかい。髪。パーカー。死んだ眼。……今度こそ、憶えた(←セクハラ継続)
??????(←失魂落魄)
……ちなみに頭領。何で、コイツに会いたかったんすか?
会いたく、なった、から!
答えになってねーんだよなぁぁ……!!
いえ、充分に答えです! これは――恋!! 一体いつの間に我らが弐席は玄武衆の頭領とそんな胸アツ関係にッ!? またカップリングが拡がるぅううううう!!!(←鼻血)
それに、どうやらココア様とも面識がある模様。ああ、また一から構築し直さなければ……(←鼻血)
こ、恋だとぉおおおおお私を差し置いてこんなポッと出おさわりング頭領が――(←顔血)
ぎゃーーーツララ先輩、抑えてその顔、皆居るから抑えてェ!!?
結局今回も、最後は我が主の顔面出血オチですか。……折角凄く暴れられそうだったのに……(←不機嫌)
……頼むココアくん、収拾をつけてくれ……
ええ!? コレをォ!?
……ということで。
玄武衆の暴走はこの満面スマイル頭領の瞬間をもって、各々緩やか~に終了する運びとなった。
タマ先輩と頭領さんが面識あるって流れもヤバいし私もまぁヤバいし玄武衆の皆も置き去り気味なのも心配だし――ああもう、どっからフォローすればいいの~~!?
…………