[4-04]人数無制限
あらすじ
「一緒に行きましょうよバ会長!! コレで解決ですよー!!」
仲良しおバカ同盟、ココア様とバ会長の仲良いお話。
こっから全部このエピソードです、インサート4の4節。
スタート!
んー、今日は半日授業だったから疲れたなぁー……
……ん? おかしくないか? 普通、半日授業で終わってたらお得に感じるものだろ、君みたいなバカは
ストレートに罵倒しないでくれませんか。いや、半日で放課後になるってことは、その分ツララ先輩のストイック漢字コーナーが長編になるってことじゃないですか
つまりなんだ、君は自分で協力要請した相手に文句を言いたくて仕方ないと。ツララ足の裏に刺すぞ靴下脱げ
絶対脱ぎませんけど
疲労困憊のココア、本日の稜泉学園生活終了。
クタクタになりながら、いつもの巨大棺桶バッグを背負って生徒会室を出る。
すると……。
あ、ココア様! お待ちしておりましたのよ!
あれ、シミズさん? どうしたんですか?
すっかり夕闇に青が染まった時間帯にはまず会うことのないクラスメイトに呼び止められた。
疲れた顔を満点の笑顔に変えて、ココアは応対する。
…………
しばらくして、別れてココアは戻ってきた。
ウッキウキしながら。
相変わらず接客態度だけは一人前だな。私の前でそんな笑顔を晒す必要は無いんだぞ
何のことです? てかそんなことより見てくださいよツララ先輩! コレ、貰っちゃったんですよー!
これは……
疲れの吹き飛んだ単純ココアが両手で高く掲げたアイテム。
それは最近工事の完了し、じきにグランドオープンを控えている若者ワクワクのアミューズメントパーク。常に最新の姿へと入れ替わる新時代の遊園地兼ショッピングモール。
そのプレオープン招待チケットであった。
先の女子は、察するに経営者と近しい関係にあるってことか
というか最高責任者の娘さんみたいですよ。何か急に招待枠が余っちゃったから折角だしってことで、普段私のことを美味しくいただいてるからそのお礼でチケットくれたんです。凄い、人数無制限! 明日ですよ、明日!
そうやって君は延々と遊ばれ続けるんだろうな……まぁ行ってきたらどうだ?
……あれ、ツララ先輩は? 人数無制限なんですよ
明日は令嬢としての激務が確定してるんだよ。日曜日が純粋に休みなのは君みたいな浮かれココアだけさ。それも分かってたから先の女子も君にフォーカスして待機してたんだろ
そんなッ、ハコも帰っちゃったし連絡先知らないし……タマ先輩はどうせ忙しいよな……ユサさんは菜圃麦隴メンテとか言ってたし……うぅぅぅ人数無制限なのにー……!!
何が人数無制限なの?
これですよコレ! ……ってバ会長!?
本日一度も生徒会室に入らなかったいつもの怠慢会長が放課後に姿を現した。
取りあえずユラは数歩下がって距離を取る。
何で軽く戦闘態勢? そういうのされると年頃の男子は傷付くんだぞー
この程度で君のメンタルが傷を作るわけないだろ。普通に汗臭い、男臭い、制汗スプレーを持ってこいバカ野郎
男臭さはスプレーじゃどうにもならんから勘弁してくれねえかな、俺は最高に男らしい男だし。草野球楽しかった
部活ですらなかったのか今日は……そんなんだからタマくんが悲鳴を上げてるんだ、会長として最低限仲間のことを考慮したまえよ。じゃあな、帰る
男臭さに参っちゃったユラは足早にその場を去って行った。
……ツララ先輩、何だか凄く機嫌悪そうだったな。私なんか悪い事しちゃったかな
ただ単に野球男子の香りに耐えられなかったんだろ。男嫌いだしなぁ
バ会長でもダメなんですか?
ま……仕方ねえ部分もあるさ。それより、随分楽しそうなもん持ってんじゃん
あ、そうなんですよバ会長!! でもこのチケット明日使わないといけなくて、でもツララ先輩もハコも居ないので……
ふーーん
…………あれ?
ココア、目の前に暇人がいることに気付く。
――一緒に行きましょうよバ会長!! コレで解決ですよー!!
え? 俺を誘うの? そういうのってよく分かんないけどクラスメイトとか仲良い友達とかと一緒に行くもんじゃないの?
私達、普通に仲良いじゃないですか! いいでしょ、一緒に行きましょうよ~人数無制限なのに2人っていうのも寂しいけど、1人よりはマシだもん
んー、まぁ、お前が良いなら俺は構わんけども。暇だし
やった! 有難うございます! えへへ、普段頑張って漢字勉強してるご褒美だなぁ……よーし、明日はお勉強も忘れて、遊びまくるぞー!!
良い客だなぁー。ん、プレオープンだからあんまりアッチの利益にはならないのか? それとも多少はやっぱり金持ってった方がいいのか……?
ということで、ココアご褒美休日に入ることが確定した。
……男女2人で遊園地、という事実に気付かないまま。