[4-03]お前、俺と一緒に来い

あらすじ

「……変な奴だな。黑稜にもこういうのが、居るのか」

これまでのお話とはまるで異なる雰囲気。

作者にしては結構本気腰、インサート4の3節はテキトウに流し読みくださって結構です。

スタート!




ココア

そ――そういうのッ、ダメ、だと思います!

こういう類いの”作業”をやってる時の俺は、基本的に失敗をしない。

大事なのは運動能力と洞察力、そして周囲の感知を忘れない情報把握能力。つまりは、経験に基づいたセンスだ。学力なんて必要じゃない。

別に狙ってそうしてきたわけじゃないけど、結果的にずっとソレをやってきた。そうしなきゃ、生きていけなかったから。

好きか嫌いかじゃない。そうやって生きてきたのであれば、それがデフォルトだ。自然と表れ出てもしょうがないもんだ。だから頻繁に、こういうトラブルを俺は処理していて。

無駄に公にならないよう、注意は怠ってない――つもりだったんだけどな。

バ会長

……………………

ココア

ダメです! は、離して、あげてください。いっぱい血が出てます、死んじゃいますから――

バ会長

死にやしねえだろ、この程度の流血量で。というか……怖いなら、スルーしてくれていいんだぜ。俺はそうしてくれた方が嬉しい

ココア

こ、怖くなんて、ありませんし!? 私、ヤンキーですから!! 怖じ気づくことを知らない強くてカッコいいヤンキーですから!?(←震)

バ会長

(どう見ても場数は皆無、か)

気付けば対処していた、のだから生半可な意識で作業していたと言われたら反論はない。油断があったんだと結論づけていいだろう。

俺は、やらかしたんだ。

だけど。

俺は1つの助けを得たんだとも、後々思った。

ココア

とにかくッ、離して! う~~……あ、握力が凄まじい~~……!!

バ会長

……血で汚れんぞ。その制服、黑稜さんだろ? お嬢様がそんな汚れ方したら事件になっちゃうだろうが

ココア

既にッ事件ですよこんな事しちゃって!! 大丈夫ですか、意識ありますかー!? ……ない!! どうしよう、こっからどうすればいいの、何も引き出しないよ~……!!

バ会長

……コイツは、助ける価値ないヤツだぜ

ココア

え?

バ会長

よく分からん趣向だけど、暴走運転愛好家と組んで、牽いて気絶させた女の子を心臓マッサージという名目で脱がすのが生き甲斐らしくてな。表向きには通りがかって事故に巻き込まれた人を応急措置した善人で通ってたが、件数の多さで調査が入って発覚、社会的にはもう死んでるし、死に際の最後の楽しみで計画してた事を考えれば――

ココア

――それだ!!

バ会長

――は?

ココア

心臓マッサージ!! すれば意識が回復するかもッ、えーっと……どうやるんだっけ、確かこんな感じで……

バ会長

……………………

それやるんだったら心肺や呼吸を確認しろって話だし、全くできてないし。

黑稜らしい、知恵の浅い女の子だった。

だが――確かに、黑稜としてはソイツは不良だった。

……ぅぅ……

ココア

大丈夫ですよ、多分、どうにかなりますからね……ッ

路地裏の砂埃、汚い男の血液で制服と手を汚しながら。

暴力の塊である俺が居るってのに、忘れたようにただ目の前で見知らぬ人間を助けようとする、非力極まりないお前を見れたから。

俺は、変わるべきなんじゃないかと発想できたんじゃないかって。

バ会長

……変な奴だな。黑稜にもこういうのが、居るのか

アイツを手放さない為のヒントがとにかく欲しかった。でもバカだから、よく分からなかった。

取りあえず、もっと凄い存在で、そんな俺に強力に結びついた存在になったら、きっとアイツのこれからも――だから。

直感する、お前は俺にとって優良な働きをしてくれるんじゃないかと。だから。

バ会長

お前、俺と一緒に来い

ココア

……え? ってアレ、確かこの前の事件の人――

バ会長

お前を玉ノ伍席として登録する、黑稜のヤンキー!!

ココア

――は? ……はあぁぁぁぁぁ!?!?