[7-03]白泉ウルトラファイブ

あらすじ

「ハコやバ会長に匹敵するくらい、インパクトありつつも凄い人の可能性……!!」

いつもとは一味違う海賊王活動、とある人材にフォーカス。

作者はバイトに1つ受かるのに2年掛かるハイレベルなコミュ障のインサート7の3節。

スタート!

バ会長

ということで、まずは情報共有! 白泉変人研究のお時間だぜ!!

ハコ

海賊王の人材=変人にするのやめるなり!!

ココア

まあまあ……

海賊王活動に新風を!

ということで人材集めに絞り込みをやってみるココアとハコだった。

ココア

ハコ、じゃなくて海賊王イオリッシュは個性が激しすぎて、あと能力も凄まじいからさ? フツーの一般学生だとちょっとキツいものがあるのかなーって。皆遠慮してるんだよ、畏れ多くて!

ハコ

ぬ……? そういうものなり? つまり私の人材集めはそれなりに私自身のアピールにもなっていたと……?

ハコ、ちょっと機嫌を直す。

もちろんこれはココアのご機嫌取りである。

ココア

だから、現状どういう人が海賊王様に怖じないのかなーっていう切り込みをあえてやってみたら収穫出るんじゃないかなあと

バ会長

視点を変えるのは拮抗した戦場では重要なもんだぜ

ハコ

ふむ……そもそも海賊王の部下を無差別に探していたのがおかしい話です。私が求めるのは、熱烈な心と強さ! 絞り込みを行うのは賛成します……が、そういう人層が見当たらないからなりふり構わずとなっていたのでは?

ココア

あはは、まあハコのやり方がコミュ障過ぎるっていうのも大いにあったんだけど……兎も角、白泉変人研究!! 白泉の中に、ハコの仲間候補がいらっしゃいますように――

バ会長がノートを取り出した。

ココアのさっきの海賊王活動ノートとは別ベクトルで汚いことになっているノートである。というか数学のノートである。

ココア

いやソレ授業用のノートじゃありません!? もしかしてお友だちさんのタレコミを先生に提出するやつにメモったんですか!?

バ会長

大丈夫大丈夫、お前はもうノートなんて提出してくれなくていい、というか精神犯されるから見せに来ないでって懇願されてるから

ハコ

うわ

ココア

うわ

識字率が崩壊しているバ会長の手書きの羅列に2人の精神が犯される。

取りあえず視界を外して、バ会長の話を聞くことだけに集中するのだった。

バ会長

えっと……まあ白泉の人口って黑稜の数倍じゃん? だから絞り込むのも一苦労なわけでさ。特に精査したんじゃないだろうけど、先人たちの分析をまず参考にしちまえって寸法

ココア

分析?

バ会長

ほら、いつぞやマキさんが話題にしてたろ? 黑稜には、黑稜拾山っていう十傑の括りが在るって。お前もその1人だし

ココア

ああ、富豪拾山みたいなノリで作ったやつですよね……あ、そういえば――

バ会長

そう、そんな黑稜さんに対抗するように暇な白泉生が放課後にカラオケしながら同志と密談した結果生まれたのが、白泉の中でも特にぶっ飛んでると言われるヤバい奴ら……本当は10人集めたかったけど人口多すぎるし濃い奴ら多すぎるし多岐的だから途中で思考崩壊したとかで、取りあえず5人にまとめた最凶枠

ココア

白泉ウルトラファイブでしたよね!! カッコいいヤツ!!

ハコ

(ダサし)

バ会長

まぁそのウルトラファイブに既に俺と海賊王は殿堂入りしちゃってるんだけども

ハコ

ダサし!!

ココア

え、ダサくないよ!? ハコおめでとう!!

ハコ

どう考えても放課後暇だった奴らが勝手にテキトウにリストアップしただけなり!! そんなの信用に足るわけがなし!!

バ会長

まあ待てって海賊王、確かにノリ9割で決まったようなメンバーだが、あれだけの人口の中でたった5人が選出されるんだ。相応に凄いことだぜ、つまり残り3人も……

ココア

ハコやバ会長に匹敵するくらい、インパクトありつつも凄い人の可能性……!!

帰りたい気持ち過半数。それでも多少は説得力もあるので、ガマンしてバ会長 (の友だち)のリサーチ結果を聞くハコ。

バ会長は言語崩壊したメモを読み直して、白泉ウルトラファイブの情報を整理する。

バ会長

えっと……まず1人目だが、コイツは海賊王でも知ってるんじゃね? 白泉の特待生Ω枠のエンジニア

ハコ

オメガの……エンジニア? ああ、タマが毎月別途予算を立てて苦しんでる主原因ですか

ココア

……? おめが?

聞き慣れない概念にココアの脳がダメージを負った。

なかなか話が進まないが、大事な海賊王コンサルタントのココアが追い付くために補足を挿入する。

バ会長

白泉って黑稜よりもずっと奨学金システムが多様なんよ。まあ、確定ハイスペック黑稜とのバランスを維持するために、優秀な人材を確保しておきたいってことなんかな

ハコ

中には阿呆みたいな支給額や優位性を約束している奨学生枠も在ります。その最高位と推測されているのが、オメガ白泉です。……何でこれまた阿呆で何も考えてなさそうなネーミングなり

ココア

え、カッコいいじゃんオメガ白泉!! でも……何かちょっと曖昧だね? 推測って

バ会長

良いところに目ぇ付けたなぁ。実はコレ、噂レベル。多分白泉の理事会の中でしか通用しないことになってる、俺ら玉席ですら把握することが赦されてない謎の予算命令。前年度以前の玉席資料にも謎枠があってタマもツララも頭抱えてたけど、まぁ多分この上からの指示あってのことなんだろうなぁ

ココア

?????

ハコ

ココアが理解するのは不可能なり。現在進行形でタマも頭抱えてる領域。しかし謎の予算枠が確保されているのは事実であり、この予算は玉席の把握外で使用されている、そして……

バ会長

一学生には有り得ないくらいの敷地を提供されて次々と機材が運び込まれてる工場を見たら、あぁコレに使ってんだろうなって何となく予想できるわけよ。それを不問にしろっていう上からの命令だから、間違いなくソイツは特別枠。入学要項には掲載されてない、最上位α枠の更に上に存在する何か……飛び越していっそΩってことにしちまおうぜって具合なわけよ

ココア

ソレ、間違いなくガチで凄い学生さんじゃないですか……

バ会長

この大天才の俺様ですらα枠止まりだからなぁ。ちなみにΩ枠の存在は前々から噂されてたんだけども、俺やタマん中ではもう確信してる。このエンジニアが、言葉には出さずとも隠してないからな

ハコ

確か……リウビとかいう名でしたか。白泉の一敷地に工場を建ててそこに昼夜延々と引き籠もって騒音を立てているクソ問題児です

ココア

おお、それは何だかハコよりも困った人の雰囲気がするぞ!!

バ会長はアルスフォンを取り出し、ココアに工場の画像を見せてあげる。

数十人、或いは3桁数の社会人が勤務してそうな規模の建物。しかしソレは、たった1人の女子の為に建造され、今も使用しているのはその女子だけだという。

まず学園の予算に盛大なダイレクトアタックをかましている変人である。

ココア

ハコ、エンジニアさんだって!! その視点は無かったよ私、とにかく運動オバケで頭おかしいくらい笑ってる人しか探してなかったもん!!

ハコ

海賊を何だと思ってるなり

バ会長

コイツはまず間違いなくオメガ白泉だろってことで普段からタマが何とかアポ取りたがってたんだけど、理事会からの圧力なのか本人がコミュ障なのか、全然取り合ってくれなくてな。珍しく玉席が下の立場なんで調査も行き詰まってんよ。海賊王、何とかしてくんない?

ハコ

途中からタマの懇願になってるなり、というかそんなコミュ障いたら統率が乱れます、優秀なエンジニアとなれば海賊船のギミックに一役買ってくれるでしょうから私も気になるところですが正直不審さが勝ってますので保留なり

ココア

統率……

バ会長

統率……

ハコ

……何か言いたいことでも?

言わないであげる2人だった。

気を取り直して白泉ウルトラファイブ、4人目である。

バ会長

えーっと……何でコイツが抜擢されてるのか俺には分かりかねるんだが、まぁカナカナちゃんとかダチは言ってたなぁ

ココア

何か可愛げですね?

バ会長

エンジニアとは違って、コイツは別に有名でも何でもない。カラオケ密会の中で知り合いが居たからってことだろうな

ハコ

矢張り情報源が信用ゼロなり

ココア

でも、知り合いだったとしても、カナカナちゃんはウルトラファイブに抜擢されるくらい凄い人ってことですよね? どんな方向性なんですか?

バ会長

トイレに出没して、大便器の臭い嗅いで人のプライバシーを暴く検便探偵らしいよ

ココア

あ、ダメな方向性ですね

ハコ

要りませんそんなガチの悪質変態

確かにウルトラな存在感だった。3人一緒に頭を抱える。

バ会長

ちょっと俺はコイツは……まぁ端的にいって拒絶反応起こすんで会いに行きたくない。悪いな海賊王、勧誘ならココアと行って

ハコ

だから要らないなりッ!! 海賊王の名にまで恥が及びます矢張り貴方の友人なんて信用に値しないなり!! むす~~……(←不機嫌)

ココア

ああ、ハコがまた不機嫌に……可愛い……

バ会長

まあそんなわけで白泉ウルトラファイブ、最後の一人だな

ココア

正直私も期待度限りなくゼロに近いですけど、大丈夫なんですか最後の一人?

バ会長

百聞は一見に如かず。コイツはソレがよく似合うな……んじゃ直接見に行きますか?

ハコ

は?

3人は生徒会室を出た。

最後の一人の姿を確認するために――