[6-03]発表してくれたまえッ!!

あらすじ

「この一手で……これからの日々を更にタマくん色で染め上げてやる――!!!」

氷条参席、遂に動く。

お気づきの人も居るかもですが今回ほとんどこの鼻血ストーカーの話です6話3節。

スタート!

放課後である。

玉席たるココアは当然、生徒会室へと移動する。

すると先に着いていた彼女の姿に、多少動揺をする。

ユラ

…………

ココア

(ツララ先輩……)

――氷条の姫君。

黑稜の理想とも絶賛される、ブランドの高嶺にして研ぎ済まされた冷気のオーラ。

歩く姿も、立ち止まる姿も、振り返る姿も、その全ての挙動の付随する氷条の気配が畏怖と神聖を生む。当然、この座って読書に耽る静かな姿も例外でない。

常人は勿論、ブランド有する者たちも踏み込むことに戦戦兢兢とする――端的に言って社会に優しくない生活態度。ココアは少なからず彼女の将来を心配していた。

だが、その根本の原因については考えが及ばなかった。昼休みに、その一端に触れた気がした。……だからココアは正直盛大に気になっていた。

ココア

(でもユサさん言ってたもんね! 妄りに話題にしちゃダメだって――)

よって、諦めるという選択に落ち着く。

代わりに地面に置いた棺桶バッグから紙の束を取り出し、氷条参席へと近付き、そして話しかける。

ココア

ツララ先輩

ユラ

……何ですか?(←表ver.)

ココア

出来ましたよ

ユラ

…………

紙の束を渡した。

……その1枚目、表紙の中央に書かれたシンプルなタイトルを見て。

ユラ

……ココアくん

ココア

あ。はい

ユラ

――この時を待っていたんだよぉおおおおお!!!

凍てついた笑わぬドS姫君の姿は刹那にして融け消えて、ぱあぁっと笑顔輝くココア達もよく知る本当のユラが曝け出される。

さっきまで黙読していた漢字辞典を投げ捨てて「ツララ先輩タマ先輩Wデート計画」と兇悪なことが書かれた書類にキスし出すはしゃぎっぷり。

とことん素直なリアクションにココアも思わず苦笑を漏らす。

ココア

ツララ先輩ってホント、タマ先輩関連だと感情隠さないですよね

ユラ

コレでもかなりセーブしてる方さッ、本気の本気を解放したら今頃黑稜キャンパスはロケットランチャーの雨で更地となっているだろうさ!!

ココア

小躍りついでに嫌いな人達殲滅しないでくださいッ

ということで。

そもそもココアがユラの助けを得て四字熟語を勉強するようになった「盟約」が、今遂に実行されようとしているのである。

ユラ

早速だがココアくん、君の練ったプロジェクトを発表してくれたまえッ!!

ココア

まず大前提ですが、タマ先輩のメンタルを極力第一に考慮します。これはいいですね!

ユラ

ああ勿論だ。私が言うのも何だが、氷条参席とデートって時点でタマくんには負担大だろう

ココア

ブランドが臭う高級なエリアだったり、遊園地みたいに露骨にキラキラした場所は間違いなくタマ先輩に不利なのでボツとしました。よって、場所は「普通」にして、雰囲気的には散歩のような形式を取ろうと思います

ユラ

ふむ……。…………。……それは、デートなのだろうか?

ココア

いや、そもそもデートをすること自体がおかしいんですよッ、全然そういうフェーズじゃないでしょ2人の関係!

ユラ

んぐッ……

ココア

タマ先輩のペースを大事にしますよ。まずは、2人はこういう自然な時間を確保するのが大事なんです。高望みはせず、地味でもまずは2人が常に近くにいる機会を積み重ねましょう。今回はスポットも充実していて選択肢の幅も大きい、かつ庶民にも優しい上野区を歩き回ります

ユラ

な、なるほど。まぁぶっちゃけタマくんと2人の時間を終日過ごせるってだけで信じられないほどの快挙だな……。だがココアくん、私はもう1つ気になっているワードがある

ココア

“W”デート、ですよね?

ココア、練りに練ったプロジェクトの真髄に触れる。

ユラ

これは、どういう意図なんだ?

ココア

ツララ先輩は勿論、タマ先輩と一緒ということを強調したいと思います。けど……ぶっちゃけ普段の惨状を見るに2人っきりにしたら確実に失敗します

ユラ

うん(←主因の鼻血)

ココア

なので当日もフォローできる私が一緒に居た方がやっぱりいいと判断しました。しかしそれだと私とタマ先輩の時間が増えて、相対的にこのイベントの価値が下がってしまう……そこで! 私はまた別の人とペアを作って、Wデートの形にすることでツララ先輩&タマ先輩っていうペア意識を保てるようにします!

ユラ

3人ではなく、4人――いや、2人2組、か。確かに構造と印象は大きく異なる

ココア

私の相手は一応既に確保してるので、ちょっと後ろで2人の様子を見守って、ヤバそうならそれとなくフォローに入る。こういう1日をやってみようと思うんです! どうでしょうか……?

ユラ

ふふ……相変わらずこういうのは作り込んでくるな……

ツララ先輩、お行儀をガン無視してイスの上に立って天に拳と書類を突き上げる。

ユラ

良いともッ、確実に彼女と仲良くなるために私は君と盟約を結んだんだ!! この一手で……これからの日々を更にタマくん色で染め上げてやる――!!! 援護は全て委ねたぞ、ココアくん!!

ココア

はい!! 頑張りましょう、ツララ先輩!!!

Wデートプロジェクト、実施決定。

遂に大きな一歩の時が訪れた鼻血参席。参謀ココアと共にウッキウキしながら細かい打ち合わせに入るのだった

ハコ

…………(←部屋に居た人)

ハコ

胃腸が壊れそう……