[2-06]勝者、ココアちゃん
あらすじ
「ん~、瑞々しくてスッキリした味わいで、美味しいよユサさん~!」
ココア様ご一行、スイーツに洒落込みます。
四字熟語は全然意識していないインサート2の6節なり。
スタート!
はーいお待ちどう~。まずはお先にユラ先輩のオーダーからですー
ツララ先輩は何頼んだんですか?
そもそも頼む気もなかったんだがな……まぁ来店して何も頼まないのもアレだから、多少金を入れてやるとしよう
ユラの前にチョコフォンデュの設備が降臨した。
というかテーブル全域を支配する非常に豪勢なオーダーだった。
何も頼まないのもアレだからって理由でオーダーするやつじゃないッ!!!
君は頭空っぽな人種だから慮ることもできないのだろうが、我々は黑稜の学生だ。つまり、学外においても気品ある振る舞いを求められるわけだ
……えっと、それとチョコフォンデュに何の関係が?
金持ちって無駄なぐらい頻繁にフォンデュするだろ? イメージを守ってやるのさ
先入観全振りのアイデアですね……
抑も金持ちはこういう店には来ないかと
むぐむぐ、さあさっさと食って帰ろう、お前らも食っていいぞ~(←零しまくり)
ツララ先輩、全然食べ慣れてないでしょソレ!! 白めの服がッ、白コーディネートがベッタベタチョコに侵略されてますよ!!
矢張り芸人
周りの目を気になる中、続いてハコのオーダーが到着する。
海賊王さんは、我が店自慢の一品、DXミックスクリームプディングでーす
……!!
うわー美味しそー!! 主役のプリンが完全にクリームに呑み込まれてるー!!
うっわ見てるだけで胸焼け半端ねえな、よくそんなもん平然と頼めるものだ。太るぞ(←チョコフォンデュ)
貴方に言われたくないんですが。私は毎日脳を酷使して糖分が形容枯槁状態なのでこれぐらい摂った方がむしろ健康的ですベストチョイス(ワクワク)
どう見ても健康な料理には見えないが……って食いだしたよ。プリンほんと何処だコレ
とにかくクリームで大海を表現することにこだわって、ついついプリン入れるの忘れちゃうことも稀によくあるんですよねー
稀によくあるってどういうこと――ってきゃーーー!!!
むぐむぐむぐ……っ――!?
ハコが吐き気すら誘引するスイーツを頬張ってる姿をココアは隣で激写していた。
ハコが美味しそうに口いっぱいに頬張ってるシーン、激カワですよツララ先輩ィ、見て見て!!
そうか? まぁ年齢および身長相応の小動物に見えなくもないが、普段からずっとそんな感じだとまだ扱いやすいんだがな
ぶぐっ、撮るなッ!
ほらもう今だってほっぺにクリームついてて、もうあざと過ぎてこっちも太りそうだよ~!!(←激写)
ッ、こ、この、人の嫌がることばかり天然でやらかす害悪……
という風に騒ぎつつ。
この皿についてはちゃんとプリンは入ってたことを確認したところで、ココアのオーダーが到着する。
お待たせしました~ココア様
けぷっ……どうせココアも頭悪い系のデザートなり。チョコフォンデュみたいな
いや、他人の心を蝕むようなえげつない一品だろ。プリンを呑み込んだ害悪生クリームパフェみたいな
お店を巻き込む悪口やめてくださいっ。私は純粋に大好物を選びましたよ
(どうせパフェ系)
(チョコたっぷりなんだろ)
……漠然と引き続きバカにしてる視線を感じる……まあいいや、2人のことは放っておいて私も食べるーユサさん
はいどうぞ~このお店では正直売れてない水羊羹でーす
わーーい♪
「「ッッッッ」」
置かれたのは非常にシンプルで、大仰な設備やスケールたっぷりの生クリームの皿と比べたらポツンと立っている感じな、とても静かな一品だった。
それをココアは、全く主張していない菓子切を手に持ち、明らかに慣れた様子で綺麗に一切の音を立てず切り分ける。
そしてパクッと一口。
ん~、瑞々しくてスッキリした味わいで、美味しいよユサさん~! グッジョブ、これもっとオススメしていいと思う!
良かったー、キッチンスタッフも最近習い始めたとかで実はあんまり自信は無かったんだけど、ココアちゃんが太鼓判を押してくれるなら大丈夫そうだね
タマ先輩にも今度オススメしてみよー
……いや……君、何で一番大人なチョイスしてるんだ――? というかそのカラフルな外見でナチュラルに水羊羹って……
バカな、ココアが上品に物を食べている――? この世の光景とは思えないなり――
2人が何か言ってる気がするけど、まぁいっか~美味しいもの食べてると、大概のことはどうでもよくなるもんね~
勝者、ココアちゃん
特に何の勝負をしていたわけではないが、そういうことなので勝者はココアということになった。