[2-05]スカートもこんなにふんわり
あらすじ
「いらっしゃいませーお客様3名ですねご案内ー☆」
ココア様ご一行、秘密裏のミッション。
再度申し上げますが、極めてどうでもいいお話ですインサート2の5節。
スタート!
……ツララ先輩、ここで合ってます――?
ああ。君のクラスメイトの言っていた限りではここに間違いない
――黑稜でいかがわしい疑いのあるアルバイトをしている学生がいる。
そんなタレコミがユサからココアへ直接届けられた。こういった場合、学生代表である生徒会は、その事実確認も秩序維持のため引き受けることがある。
しかもブランドある黑稜の学生ともなれば、大事にはしたくないのである。だからココア達は、時間を見つけて普段まず来る必要のない領域に足を踏み入れていた。
この中央大陸の都市の水道環境の心臓部といえる、水の町――水上が誇る水だらけのショッピングモールに。
滝とか噴水とかアザラシとかがいっぱいなこと以外は普通にショッピングモールですね……ああハコの服買いに行きたい……
しつこい
でも先に用事を済ませないとね……。えっと、「マリンプリン」とかいうスイーツカフェが怪しいってユサさん言ってたな……
今時の女子たる君はそういうのには詳しくないのか?
スイーツは好きですけど、あんまり外出はしないので……皆心配しちゃうから。調べてみたら、最近すっごくホットになってるお店なのは分かりました。テレビの取材も来たって
そんなに有名なのか? ならいかがわしさなど包含する余裕はなさそうに感じるが……
百聞は一見に如かず、自分達で見れば全て解決でしょう
それもそうだな。さっさと視察を終わらせて海賊王の服を買って帰るとしようじゃないかココアくん
そうですね、じゃあ行きましょう! 4Fのアウトサイドコーナーにあるらしいですよ!
服は買いません
水上区のシンボル的モールを突き進む。
……………………。
あった! マリンプリン
ペンギンが普通に歩いている屋外コーナーに、そのスイーツレストランは割と質素な装飾のもと設えられていた。入退場のアーチには「Restaurant MarinePudding」。
中央大陸のスイーツ大好き女子を語るならば必ず通らねばならない、水上スイーツの聖地、その門を。
極秘のミッションを抱えた令嬢2人と海賊王1人が通った――
いらっしゃいませー♪
ユサさん!?!?!?
すると早速出鼻を挫かれた。
その疑いのあるお店に立ちココア達を出迎えたのは、身なりは完全にこのお店のフリフリなウェイトレスの、そもそもタレコミかました張本人であるクラスメイトだった。
このことから、氷条参席はストレスが爆増した。
この私がッッッ嵌められたとでもいうのかッッッ!!!
ちょ、ツララ先輩、顔がッ、山脈みたいにことになってますから年頃の女子ィ!!?
アレは、確か貴方のクラスメイトじゃないですかどういうことですか何で密告してきた本人が此処に居るんですか
ああ、あのタレコミほぼほぼ嘘っぱちだから☆ いらっしゃいませーお客様3名ですねご案内ー☆
あ、帰ります(←悟)
いやいや帰らないのハコ、ミッション終わってないでしょッ!
唯一全く気付く素振りもないココアが足を引っ張ったので、結局3人はお席に着くことになった。
こうなっては、私服のプライベートな時間であろうとも責任ある稜泉学園の学生として迷惑客になるわけにはいかないのである。
?????
君はクラスメイトに騙されたんだ。どうせこの店に、我々が危惧したような疚しい事情なんて無い。ただ君を、ついでに私達を玩ぶためにここに呼んできたんだろう
もしくは貴方たち令嬢に金を出させてお店の大きな利益にするつもりなのでは?
だとしたらアイツだけぶっちぎって疚しいな
えぇええええ!?!? そうなのユサさぁん!? 私、騙されてたのぉ!?
やだなぁ、騙すなんてそんな人聞きの悪い。ほら見てよココアちゃん、フリフリってしてるでしょ、ホラ、スカートもこんなにふんわり。いかがわしいでしょ~
それアウト判定なら普段の制服もアウトだと思うよユサさん!! えー、まさかの無駄足ぃ……? 何だか急にどっと疲れたぁ……実は結構緊張してたのにぃ~
あれ、ノットギルティでオッケーなの? そっか~、じゃあついでにお店自慢のスイーツ食べていってよー。おふたりもどうぞ~
玉席を手のひらで転がそうとするとは良い度胸なり、海賊王の仲間候補に考えておいてやりましょう
コイツ仲間にしたらいつ裏切られるか分からんぞ
ということで3人の特殊学外活動は唐突に単なる休暇に変わったのだった。