[7-02]可愛くて仕方ない友だち
あらすじ
「最近ハコの香りだったら警察犬に勝てる自信が出てきたぐらいだよ」
メインヒロイン枠の割にちょっと地味じゃない? とかもう言わせない。
前回のインサート6は必読です、こちらはインサート7の2節なり。
スタート!
政権の破壊を望む「敵」が未だ多く見守るバ会長政権の玉席。
ゆえに、常にその者たちはこのハチャメチャな砦の攻略法、すなわち弱点を探っている。
HAHAHA、残念☆この俺様がまた強くなっちゃっただけだったな~!! もうお前ら吹奏楽部じゃ俺には勝てねーよ多分
例えば、白泉だし失言も多いし、何よりぶっちぎりで失礼の塊であるバ会長本人は叩けるか?
それは幾度も実践されてきたが、彼は他の白泉生とは次元が違う、黑稜の環境を破壊しうる強者である。加えて弐席副会長の閨英闈秀が的確なタイミングで輝くため、会長をいきなり討つという1番マトモな気もする大胆な手段は残念ながら現実的ではないのである。
……そのクーデターは規則に抵触しています。恐れ入りますが、天罰覿面、その味を知っていただく必要があるかと考えます。”指導室”、開けますね――
では、その最強の右腕たる弐席自体はどうか?
ブランドレス、黑稜の裏切り者、色んな文句が思いつく異例の玉席であるが、もう一つ異例なのがその実力。あまりにも速過ぎる実行と会長に対する忠誠心が悪い意味でマッチングし、気付き手を伸ばした時には既に政権は行動済み。自衛準備もまた同様であり、完膚なきまでにお仕置きカウンターされて帰ってくる黑稜生も数知れず。
最も危険視されてはいるものの、現状どうすることもできていないバ会長以上に巨大な壁である。
現稜泉を支えている心臓はまさしく弐席。だというのに彼女を害そうなどという理解に苦しむ輩は、掃除しなければなりませんね。彗氾画塗とはいえ溜息の一つも出したくなる(←表ver.)
あのー、大丈夫ですか……? えっと、ちょっと、お話しませんか……?
また、政権の実質的核ともいえるエンジン機関弐席を黑稜カースト最上層の1人である氷条参席やココア伍席がカバーしているという堅牢さも見逃せない事実である。
特に参席のブランドレス弐席に対するお気に入りっぷりは相応に学園全体に伝わっているのであり、彼女を排するということは参席を完全に敵に回すという事態にもなる。ここが最も黑稜生たちにとっては二の足を踏む苦しすぎる現実なのである。
伍席は参席ほどに厳しい人格ではないが、彼女には非常に多くの味方がいる。更に、チャレンジに踏み切った反逆者は彼女がたいてい救いの糸を垂らして完全墜落から辛うじて救出され、その過程で注がれた慈悲によって優しく牙剥かれることとなる。結果、勇猛果敢に挑んだ学園想いし者達の戦力は明らかに削減されていた。この攻め方は悪手なのだと理解し諦めるほかないのである。
あまりにガチ過ぎる革命政権の正門。……そこで、次なる狙い目に彼らの視線は集中するわけである。
玉席? それ以前にオレッチは、海賊王イオリッシュ=イシムナ=オウニンパラダイスなんだぜーー!! お前も船を目指すんだぜーー!!(←表ver.)
もう1人の白泉生。もう1人のブランドレス。
本名はよく知らないが、海賊王イオリッシュなんちゃら。彼らの目には、彼女の奇怪さが実に穴に見えてくるわけである。彼女を攻める手はこれまで全く無かったわけではない。が、がっつり本気で戦略を研究したこともない。
弐席を守ることに意識が傾いている今の政権の雰囲気からして、明らかに砦として手薄なこの海賊王肆席を数の力で攻めるという新たな試みはとても甘味を感じる切り込み方であったのだ。だから、実行に移す者もそれなりに多く出た。
……そしてそのお陰で、新たな現実が発覚してくれたわけである。この肆席は。
断じて甘い存在ではなかったのだと……。
……詰み、なんだぜ。最初から、全部、有効打はゼロだったんだぜ
脅威の点で玉席において最も地味、つまり実績明るくない存在とは肆席。そう考える者も多いが、それを好機とみた者達は皆例外なく痛い目を見ることとなった。
速さといえば例の弐席。しかし次いで恐ろしい速度で事を進める肆席。
出張などで弐席が視界を外しバ会長がサボり散らかしてる一方で、参席同様に的確にその穴を埋める肆席。
参席と伍席が轗軻不遇過ぎる弐席に夢中になっている間、唯一砦全体を監視して対処している肆席。
……それは”最も”抜かりのない広範かつ冷静な目だった。誰1人、肆席単体を崩すことはできなかった。その見苦しい敗北の代わりに彼らは重大な情報に気付く。
この革命政権の目立ちまくる柱の弐席副会長の背後で、更にきめ細やかに支える最強の裏方こそが、海賊王肆席。
否、その立ちはだかる姿は、決してあの明るく五月蠅い海賊王なんてものではなく……
海賊王……いや、肆席のあの女子は……
一体何者なのだ――?
人脈ある黑稜生、情報屋な白泉生が入念に調べても彼女の情報は海賊王の奇行ぐらいしか出てこない。本名も、どこのクラス所属なのかも職員室内で明確じゃないという意味不明っぷり。
定まらない標的というのは怖くて仕方ないものである――そこで改めて彼らは、肆席が如何に危険な存在であったのかを思い知る。
ねー、ココアちゃん。結局、海賊王さんって何なの?
え? ハコ? えーっと……
……ちなみに、仲間内ココアにも、肆席をしっかり説明することができない。ハコがどういう仕事をしているのか、よく分かってないのである。とはいえ、仲間内なので少なくとも敵さんとは異なる語りはできて当然。
――ココアにハコと呼ばれる少女には、幾つもの顔がある。
はた迷惑な学園屈指の問題児もとい将来の海賊王。
かの氷条参席に比肩する豪速級の秀才。
……うん。ハコはねぇ――
さあ、彼女は何であるのか――? 例えばココアは……こう説明してみせる。
可愛くて仕方ない友だちでーす!!(←抱)
主観的過ぎる総評ッ、却下なりッッ!!
性能とか実績とかガン無視でお送りする自信満々ココアレビューである。
最近ツララ先輩のこと言えなくなってきた気がするくらい、ハコ枕に夢中なんだなー……日頃の漢字勉強と理不尽鍋の傷がみるみるうちに癒やされていくぅぅぅ……(←抱)
抱き枕を赦した覚えは……ぬぅぅ~~……ッ!!
実力は全然違うけど、同じ身長同じ学年で、ツララ先輩とは違う存在感……ハコと居ると安心できるんだよなぁ。最近ハコの香りだったら警察犬に勝てる自信が出てきたぐらいだよ
アレみたいに成り下がる前に病院行くなり!! 頭の!!
小難しい話題を全スルーした同級生の抱き抱き攻撃を押しのけて距離を取るコミュ障神経質伍席。
椅子を前に持ってきて盾代わりしつつセクハラココアを睨む。
そ、そもそもこの未来の海賊王イオリッシュ=チョウサク=シュウゲキと対等な、と、と…友だち、なんて生意気なり恥じまくるべしせいぜい貴方は参謀なり!!
あはは、もうハコは今日もツンデレ海賊王さんだなー。勿論、ハコの為に毎日いっぱい考えてるよ(←ぼろぼろノート)
汚ッ
ココアのボロッボロの中古ノート。
ハコはそれを見て不機嫌度を上げる。
絶対テキトウに殴り書き遊んでるだけなり……ユラのことはあんなに親身にサポートしてたくせに……やはり友など嘘っぱち……
ええっ、そんなことないよ~
フンッ
あっちゃあ、へそ曲げちゃった……でもそんなハコも可愛すぎる……ッ――グッ
……? ココア?
あ、ううん、何でもないよ。ちょっとハコの香りが素晴らし過ぎて咽せかけただけ……あはは、ほんと仕方ないなぁハコったら
(完全にオモチャにされてるなり)
普段の四字熟語カード作成激務は本当に割に合わない契約をしてしまったのだなと悔やみまくる海賊王の心中などガン無視で、椅子を越えてベタベタするお花畑伍席。
そんな平和な生徒会室に野球部で暴れまくった野郎がノーノック入室。
うーっす。あれ、また仲良ししてる
してないなりッ。ココアなんて知らないなり……
もうハコったらー。あ、そうだバ会長! 例のアレ、どうなってますか?
んー? ああ、アレ。アポは取ってないけど、まぁ聞き込んどいたぜ。流石この俺様に匹敵する連中だな
……アレ?
ふっふーん、盟約は全然忘れてないのだ! ハコの海賊王活動、そのメインな人材集め!! これまでは闇雲無作為に声掛けしてたけど、今回はちょっと絞り込みして狙い撃ちしようかなって思ってたんだ。それでバ会長に、ハコに適応できそうな凄い人の情報を集めてもらってたの
海賊王に対抗できるくらい人の話を聞かない自己中の変態、もとい強靱なメンタルしてる優秀な人材をリサーチしてみたんだなあ。まあクラスメイトに聞いただけなんだが
何で変態にフォーカスしてるんですか、それでは海賊王の仲間に相応しいのがそういう層みたいなことになるではないですか殴りますよ
でも、居たんですか? この学園にも、ハコの理不尽コミュ障にも逃げないくらいぶっ飛んでる人が……バ会長ぐらいかなって思ってたんですけど
滅多打ち海賊王、盾代わりだった椅子に体育座りしていじけだす。
そんな中周りの2人は盛り上がるのみである。
個性爆発の白泉キャンパスを舐めてもらっちゃ困るねぇ。ではでは、一部紹介してやろうじゃないの
黑稜だけじゃない、白泉の眠らす底力ってやつを