[2-02]紛うこと無き天才の手腕っしょ?

あらすじ

「ココアお前賢くなろうとしてんの?」

稜泉の首席が降臨!!

玉席と黑稜と白泉は覚えておいてくださいな2節です。

スタート!

バ会長

あー疲れたぁー☆

ココア

そりゃ疲れますよ……というか私達も死ぬほど疲れた……

玉席一同、生徒会室へ戻ってくる。

外界をドアで遮断したところで女性陣は床やら椅子やら机やらにへばり倒れた。

ユラ

全く、いきなり乱入してきた上にやってくれたな、この考え無し……

バ会長

何で特に運動してないお前らがそんなに疲労困憊なわけ?

ハコ

下手したら予算破綻で最低限の信用も大荒れするところだったからに決まってるじゃないですかこの大莫迦

バ会長

俺一応先輩だから海賊王

ココア

ま、まあ……結果オーライ、なのかな? 予算喧嘩も結論は付けた感じだし……?

バ会長

おうよ、どーだ俺の手腕? たまにはビシッと見せつけとかないとな、って思ってたんだよ

ココア

そんな自慢げにされても……そもそも常に出席して見せつけるのが普通なんだけど……

バ会長

野球でクソ忙しくてな。悪いな☆

この、疲弊している仲間からもヘイトを荒稼ぎする気楽な男子こそが形式上彼女らの格上。というか稜泉全学生で最も偉い学生。

そして確かに常人には真似できない行動の数々を平気で見せつけてくるので、ココア達は最低限の敬意を込めて彼のことをバ会長と呼んでいた。

バ会長

まあそーゆーわけだから、来月の部活動予算の割り当ては変動なしってことでよろしくツララ

ユラ

それはタマくんに言いたまえ。そしてこってり怒られるといい……ん、何だソレ羨ましいなバ会長の分際で

ハコ

……絶対的な基準で以て予算の増減を決めるのは良いですが、それぞれ部活の得意分野で一勝負して勝ったら予算アップだなんて

バ会長

まだ不満垂らしてんのか、別に良いじゃんたまには。ついでに俺の手腕も振るう機会になったわけだし

ハコ

そういう問題じゃないでしょう、抑もそういうギャンブルに持って行く事自体……う、思い出して気持ち悪くなってきた……

バ会長

終わり良けりゃいーんだよ。もっと快闊にいこうぜ海賊王

ハコ

無理……(←イヤホン体育座り)

ココア

でも、ホント凄かったですよ。だってテニスもバスケも吹奏楽も、会長勝っちゃったんだから……楽器とか全部扱えてたじゃないですか!

バ会長

笛系とかは舞踊の一環で使うこともあるし、要は吹いて鳴らす楽器が殆どだったろ? なら元から持ってるセンス、プラス見取り稽古で後は何とかなるよなって

ユラ

そんなクソみたいな見立てで喧嘩売ってたのかお前

しかし実際に、彼は各部活が得意とするものを主軸にした一勝負で、全て勝った。これが来月分の予算事情の主軸となる現実とされた。

その一方で、各部活動の現状・雰囲気を直接観察したことで改善のための要点を見出し、次の部活動会議での予算決定の基準は各部に叩きつけられたその要点にどう対応したかが絶対的な基準であるとした。

ちなみに中には大敗なんて言葉じゃ生易しいほど叩き潰された団体もあったが、予算削減をしないというある種の貸しを作ったことで玉席の優位性を明確に強調した。

……といったことを予期せぬ3時間ほどを費やしてバ会長がアドリブでやらかしたのだった。

バ会長

どうよ。紛うこと無き天才の手腕っしょ? 自分で言うのもなんだけど、俺って世界屈指のカリスマ持ちだからな

ユラ

ほんと自分で言うなバーカ、その才能ちょっとでいいから知能に分配しろ頼むから

バ会長

勉強だけはホントダメなんだよなー……ほら、ここに置いてある四字熟語辞典とか、パラパラ捲っただけでもアレルギー反応起きて顔にブツブツが

ココア

ほんとバカっぽいじゃないですか……私でもそんなじゃないですよ? あとソレ私のだから返してっ

バ会長

は? ココアの? 何でお前が辞書なんて持ってんの?

ココア

……あれ、言ってませんでしたっけ?

ココア、少しずつ日常に溶け込みつつあった、最近の自分の頑張りを天才バカ野郎に説明してみた。

……………………。

バ会長

え……つまり何? ココアお前賢くなろうとしてんの? そしたら玉席でバカなの俺だけになっちゃうじゃん!!

ハコ

どうせココアは一生バカが抜けないので一緒に恥じなさい。新しいカード、作ってきました

ユラ

お前のバカさ加減とは別ベクトルでココアくんも我々を驚かせてくれるバカ具合だからな。よし、コレでもっと念入りにアウトプットの練習ができるな

ココア

バカとか恥じろとか、毎日言われててもダメージあるんだからね!! 見ての通り私だって頑張ってるんだよバ会長!!

バ会長

まあソレは良いけど、ホント賢くならないでな? お前はバカだから良いんだからな?

ココア

何だろう、バ会長にバカ扱いされるのは他の人達とは何か違うぞ……極めて釈然としない……

ユラ

そういうわけだ。忙しい君に強制はしないが、暇があったらココアくんに附き合ってやれ

バ会長

俺、ひらがなの書き取りも怪しいから役に立たないと思うけど?

ハコ

会話に附き合いなさい、それくらいなら書き取り力が荒れ野の貴方でも出来るでしょう。ほら、今日はだいぶ時間がありませんが始めましょう

ユラ

1時間あればアウトプットの傍ら50文字ぐらいはしっかり頭に叩き込めるだろ

ココア

無理です!!!

ということで大変疲れた放課後の残り時間も、しっかり有効活用。ココア達はレコンキスタな勉強に華を咲かせた。

そしてそんな彼女らの光景を、少し距離を置いて、バ会長は眺めるのだった――。